What's the story?

ロンドンでの学生生活で感じたこと、忘れないように

インド料理

ロンドンに着いて3週間が経った。

 

3週間経ってようやく、ブログに初めてものを書く気になった。留学経験者をはじめたくさんの人に「絶対に日記を書いたほうがいい」と勧められて登録したものの、何をどこからどう書いたらいいかちっとも分からず空っぽのままだったこのブログも、ようやく日の目を見ることになる。

書こうと思ったきっかけは特にない。言うなれば単に課題のリーディングに飽きたから、だろうか。

 

とりあえずは日々起きたことをここに記していく。

留学しようと思ったきっかけとか、こちらに来て感じたこと、社会のこと、将来のこと、いろいろと思うところはある。けれど、やはりどこから何を書いたらいいのか分からないので気が向いたら、或いは思い出したら書いていこうと思う。

 

 

とりあえず今日(昨日)、10月9日日曜日。

のんびり起きてシャワーを浴びて、ランチを簡単に(ベーグルを半分に割ってサワークリームを塗るだけ)済ませて、ちょこっとリーディングをした。眠くなってきたところでボーイフレンド(「彼氏」より響きが好き)と電話をして、夕食の買い物に出かけた。

 

住んでいる学生寮の最寄りはWaterloo駅というところで、テムズ川のすぐ南。買い物に行くときはたいていテムズ川を渡って、スーパー、カフェ、ドラッグストア、ブティック、何でもありのStrandという大きな通りに出る。ちなみに私が通う大学のキャンパスもStrand Campusといって、この通り沿いにある。

 

いつも通りStrandのSainsburyというスーパー(イギリス最大のチェーン)で買い物を済ませて帰ると、フラットメイトに出くわす。どうやら皆で夕食に近所の美味しいインド料理をオーダーするという話が持ち上がっていたらしい。今晩の夕食にと買い足したパスタはひとまず、お蔵入りになった。

 

フラットメイトについてはまた後日詳しく書くとして、とりあえず彼らは私にとって既に家族のような存在になっている。

私を含めてフラットには7人住んでいて、皆でキッチンを共有する。男女比4:3。とにかく女子の仲がよく、4人揃って出かけたり、2人ずつで出かけることも多い。

夕食は各々好きなものを作りながら、でもたいてい一緒に食べる。誰が声を掛けるわけでもなく、「誰かがキッチンにいる」と分かると自然と人が集まってくるのだ。

 

インド料理をオーダーしてシェアしよう、という話になったのも女子の間でのこと。

料理が届くと、受け取ったひとりが "It's dinner time guys!" と廊下で叫び、4人が部屋からわらわらと出てくる。キッチンで料理を広げ、ラム肉が美味いだの、辛いものは苦手だの、リーディングが終わらないなどと口々に言いながら箱に入ったままの料理を皆でつつく。あっという間に食べ終わると各々皿を片付け、すぐに勉強に戻る。ケータリングを頼んだことを除けば、いつもと変わらない光景だ。私もすぐに部屋に戻って、リーディングを始め、結局今に至っている。

 

 

フラットメイト達は、というかイギリスの大学生達は、ほんとうによく勉強する。

彼らが皆向学心に燃えているとかそういう話ではなく、たぶんこれは文化のひとつだ。

 

授業で毎週、計数百ページにも及ぶリーディングリストを与えられること。これを隅から隅までくまなく読むことはなくとも、自分で必要な文献を選択して読むこと。こういう予習が毎回の授業に必要な作業であること。

これらがすべて、当然のものとして学生たちに受け入れられている。誰も不満を言わないし、完璧にこなしたからと言って互いに褒めるわけでもない。

 

もちろん私はこの「文化」に慣れていないので、部屋にこもって何時間もリーディングをする(或いはしようと試みる)ことがまだ苦しかったりする。なかなか集中できないし、外に出て遊びたい(なぜなら私はロンドンのど真ん中にいるのだから)気持ちに負けそうにもなる。その挙句、何をしたわけでもないのに疲れ果て、ふらふらとキッチンに出る。

 

そんなとき、フラットメイトたちがにぎやかに夕食の準備を始めているのを見るだけで、私の心は驚くほど晴れるのである。

彼らといくつか言葉を交わしながら、普段であれば出来合いのソースをかけただけのパスタ、今日であれば箱に入ったままのインド料理を平らげる時間が、これからの私の留学生活の支えになることは間違いないのだ。

そして私は部屋に戻って、また分厚い教科書たちと格闘する。

 

こんな感じで、わたしの留学生活は危ういバランスを保ちながら、でもちゃんと進んでいくだろう。そんなことに気付いたロンドン4週間目。